介護休業期間の使い方
育児休業に比べて、介護休業を利用する人が非常に少ないと感じていました。
実際に、厚生労働省平成25年の調査でも、育児休業の取得率は、女性で83.0%、男性で2.03%であるのに対して、介護休業の取得率は、女性で0.11%、男性で0.02%となっており、非常に少なくなっています。
この原因は、様々あるのでしょうが、一つは、介護休業の期間が最大でも93日間、という短いところにあるのではないかと思います。育児と違って、介護、とりわけ高齢者の介護は、いつまで続くか分かりません。93日間(約3か月)では、足りないケースも出てくると思います。
同じ、平成25年の厚生労働省の調査では、家族の介護を理由として、退職された方がいる事業所が、2.0%あったそうです。
私たちも社労士として、介護休業についてのご質問やご相談を受けることもありますが、「93日ではね・・・」と、期間が短いからなかなか使えない、という話によくなっていました。
先日、介護メンタルケア協会 代表の橋中今日子さんの講演をお聞きする機会がありました。講演の中で、
「介護休業の期間は、これから始まる介護に対して、心も身体も、そして環境も準備をする期間です。」と仰っていました。
「家族の介護をされている方は、介護が始まり、介護のために仕事を休まなくてはならない状況になるまでに、精神的にも身体的にもとても無理や我慢をしてこられている、人に言えないこともたくさんあります。そんな方に、介護休業の93日間を使って、これからまだまだ続いていく介護のために公的機関の介護サービスを受ける手続きなど介護をする環境を整える準備と、ご本人の心と身体を回復させる期間に使ってください。そして、公的なサービスも活用しながら、仕事と介護を両立できるようにしてください」とお話されていました。
それまでは、介護休業の93日間で介護が終わらなければどうするのか、と考えていましたが、介護をしながら仕事も出来るようにするための準備期間と考えたことはありませんでした。他にも、周りの従業員の方のサポートについてなど、介護をしてきた人でないと分からない事を教えて頂きました。
機会があれば、是非、橋中さんのお話を聞いていただきたいと思いました。
この記事へのコメントはありません。