【事例で学ぶマネジメント】膠着状態を打破したイノベーションとは
事例から学ぶマネジメント。
『ドラッカー組織づくりの原理原則』で紹介されている事例を紹介します。
今回の舞台も、兵庫県にあるクリーニングタグの製造販売をしている会社。
前回の記事で業界の市場縮小に対抗すべく、新規事業にチャレンジされた事例をお伝えしました。
社長はさらなるイノベーションを試みます。それは、全くの異業界への挑戦でした。
クリーニングのタグに使われる紙は、洗濯前に取付けられることから非常に高い耐水性が求められます。この耐水性の高い紙をいかした商品で何か作りたいと以前から考えていたのですが、その想いがあるデザイナーとの出会いで動き出します。
最初に作ったのが、植木などに取付けるタグです。耐水性がいかされただけでなく、ホチキス止めを不要にしたクリーニングタグのアイデアもいかされ、話題になりました。
その次に作ったのが、小型のメモ帳です。この商品も話題となり、グッドデザイン賞を受賞しました。
そしてこの商品がきっかけで、市場になかなか受け入れられなかったホチキス止め不要のクリーニングタグを導入したいというお客様も現れました。
イノベーション成功の要因
今回のエピソードの原理となるドラッカー教授の言葉は次の様なものです。
なすべき貢献は何であるかという問いに答えを出すには、三つの要素を考える必要がある。第一は、状況が何を求めているのかである。第二は、自己の強み、仕事の仕方、価値観からして、いかにして最大の貢献をなしうるかである。第三は、世のなかを変えるためには、いかなる成果を具体的にあげるべきかである。
P.F.ドラッカー『P.F.ドラッカー経営論』
社長は、以前は貢献という発想は無かったと言います。
しかし組織が成果をあげるには、社長を含めそこに属している人たちの貢献、つまり組織の成果のために自分がなすべきことは何か、できることは何かを考え、実行することが不可欠です。
状況が何を求めているのか
組織の成果に貢献するには、その仕事をとりまく様々な状況を知る必要があります。そこには顧客や協力者、取引先など、多種多様な存在が関係します。そういった全体的な状況が何を求めているのかを考える必要があります。
自己の強み、仕事の仕方、価値観からして、いかにして最大の貢献をなしうるか
全体の状況を考えた上で、自分がなすべきことを問いましょう。
その際に、最大の貢献をするポイントは、強み、仕事の仕方、価値観です。良い仕事をするにはこれら3つの要素がとても重要になります。その仕事は、自分の強みが生かせるか、自分の仕事の仕方にマッチさせることができるか、そして何を置いても重要な事として、自分の価値観と合うかどうかです。
いかなる成果を具体的にあげるべきか
貢献によってどんな成果をあげるべきかを具体的にする必要があります。
ただし、この成果は売り上げや利益といったものではありません。
「世のなかを変えるためには」とある様に、顧客や社会にどのような変化をもたらしたいかです。
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