ドラッカーに学ぶリーダーとその役割とは
リーダー、リーダーシップに関しては、全ての組織において重要な関心事と言ってもよいのではないでしょうか。度々取り上げているこのテーマ、今回は改めてドラッカー教授がリーダーやリーダーシップに関してどう考えているか、いつもより引用を多めに紹介しながらお伝えしたいと思います。
まず押さえておかなければならないのは、世間的にイメージされるリーダーは間違っているということです。
そもそもリーダーとは
リーダーシップとは人を惹きつけることではない。惹きつけるだけでは煽動者にすぎない。友達をつくり、影響を与えることでもない。それでは人気取りにすぎない。
P.F.ドラッカー『マネジメント〈中〉』
よく言うカリスマ性とリーダーシップは全く別のものです。人を惹きつける魅力がある人がリーダーだと言う風潮がありますがそうではありません。
カリスマ性がある方がリーダーに向いている、リーダーシップを発揮しやすいかと言うとそういうことでもないのです。むしろ、真にリーダーシップを発揮するときにカリスマ性が邪魔をすることもあるでしょう。
では、いったいリーダーシップとは何なのでしょうか。
リーダーシップとは行動である。思索にとどまってはならない。それはカリスマでもない。演技でもない。行動である。
P.F.ドラッカー『非営利組織の経営』
平凡なようでも、実践することだけならば、適性も、個性も、姿勢も関係なしに行うことができる。才能は必要ない。単に実行するだけである。口先ではなく行動があればよい。実践としての組織の精神があるならば、リーダーシップを発現させ、確認し、機能させることはできる。
P.F.ドラッカー『マネジメント〈中〉』
ドラッカー教授いわく、リーダーシップは行動、実践です。やるかやらないかの世界なのです。つまりは、行動すれば誰でもリーダーシップを発揮でき、逆に行動しなければカリスマ性があってもリーダーシップを発揮することはできません。
もちろん、できるできないの能力の問題は残ります。しかし、ドラッカー教授が言っている事はそれほど高度な能力を求めることではありません。誰もができる様になる可能性のあるものです。
ちなみに、マネージャーとリーダーの違いというのもよく話題となります。
リーダーシップとは、人の視線を高め、成果の基準を上げ、通常の制約を超えさせるものである。
P.F.ドラッカー『現代の経営〈上〉』
このようなリーダーシップを発揮している人がリーダーです。いわゆる、役職や経験年数などは関係なく、誰しもリーダーシップを発揮することができます。つまり、誰でもリーダーになれると言うことです。
一方、マネージャーはチームを率い、チームメンバーが個々になすべきことをおこない、チーム全体で成果をあげることができるようにする存在で、多くの場合は組織上の役職者である事が多いです。
最後に次の言葉も心に刻む必要があります。
リーダーは模範たるべき者である。期待に応えるべき者である。
P.F.ドラッカー『非営利組織の経営』
リーダーはどのようにしてつくりあげるのか
リーダーをつくりあげるのは仕事である。リーダーとは仕事を通じて自らつくりあげるものである。
P.F.ドラッカー『非営利組織の経営』
この言葉につきます。組織においてリーダーは仕事を通して作られます。しかも、自らつくりあげるものとドラッカー教授はいいます。
リーダーがやるべきこと
最後に、リーダーがやるべきことは何でしょうか。逆に言うとこれらをやれば、その人はリーダーシップを発揮している、リーダーであると言えるのではないでしょうか。
リーダーが最初に行なうべきことは、全員が、ミッションを目にし、耳にし、それとともに生きることができるようにすることである
P.F.ドラッカー『非営利組織の経営』
リーダーシップの基礎とは、組織の使命を考え抜き、それを目に見える形で明確に定義し、確立することである。
P.F.ドラッカー『プロフェッショナルの条件』
まずはミッションです。組織においてはそこに属する人が組織のミッション実現のために行動する必要があります。そのためには全員がそれぞれミッション知り、理解し、どう行動すればいいか考えられるようにしなければなりません。
ミッションで飯は食えませんが、ミッションがなければ飯は食えません。
リーダーたる者が次に行なうべきことは、優先順位を考えることである。
P.F.ドラッカー『非営利組織の経営』
優先順位を考えることはすなわち、捨てるものを決めるということです。資源を集中しなければ成果はあがりません。リーダーは優先順位を決めそれを守ることが求められます。
捨てきれずにそのままになっている事はありませんか?もしあるとしたら、そのことに関わる資源、特に人に対して不誠実といえます。
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