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ドラッカー

【マネジメント入門②】2つのマネジメント

ドラッカーマネジメントに興味があるけど何から手をつけていいかわからない人のための連載「マネジメント入門」、第2回目は「2つのマネジメント」です。

マネジメントの父ドラッカー

マネジメントの父と言われるドラッカー教授ですが、マネジメントという言葉自体は一般的な言葉であり、ドラッカー教授が作ったものではありません。しかし、様々な意味や解釈のあるマネジメントを、ドラッカー流に解釈し、体系化したということでマネジメントの父と呼ばれるようになりました。

ビジネススクールでは教えてくれないドラッカー(祥伝社新書)という書籍で2つのマネジメントについて書かれています。ドラッカーマネジメントを学ぶ上で、この2つを知ることは重要な意味があります。その2つとは次の様なものです。

  • 経営合理的マネジメント
  • 人間主義的マネジメント

経営合理的マネジメント

利益や株価の最大化、コストの最小化を目的としたマネジメントで、アメリカの経営研究やMBAで取り扱う主流の考え方です。

アメリカの経営研究は実証主義、科学主義が強く、原因と結果の結びつきが重視されます。簡単に言うと、○○となった原因は△△だということが証明できないとだめだ、そうであれば、△△をすれば○○に(確実に)なるだろうというスタンスです。

企業利益や株主価値の向上に結びつくかどうかが重要で、経営合理的なマネジメントを展開し、それにかかわる命題を統計的手法によって正当化するといった世界なのです。

しかし経営合理的マネジメントが行きつく先は不条理だとも書かれています。

例えば利益の最大化が目的という点を取るとどうでしょうか。極端な話、安い粗悪品を法外な価格で販売すれば利益は大きくなります。度々起こる企業の不正や、不正隠しなどは突き詰めると、利益追求が原因だったりします。しかし、その結果として企業の経営が傾き倒産することもあるでしょう。これが不条理です。ここまで極端な例でなくとも、多少不正を犯した方が経済的には合理的だという場面は多いのが現実です。

加えて、コストの最小化を追求すると、企業に必須であるイノベーションは起こせません。イノベーションは大きなリスクとコストがかかるものです。

人間主義的マネジメント

顧客の創造を目的としたドラッカーマネジメントです。経営合理的マネジメントで目的とされた利益はあくまで手段(条件)にすぎません。

目的である顧客の創造とは何でしょうか。詳しくは別の機会に譲るとして、シンプルにいうと、マーケティングとイノベーションを両輪に新しい価値を市場に提案していくことです。単純に顧客の声を聞いて要望を実現することではありません。

例えば、ウォークマンやiPod。今でこそ当たり前ですが、これらが登場する前は、外で歩きながら音楽を聴くということは一般的ではありませんでした。そういう世間のニーズがあったから生まれた製品というよりは、外でもどこでも音楽が聴ける世界を提案した結果受け入れられたと言った方が適切です。ニーズに応えたのではなく、ニーズ自体をつくりあげたといえます。

人間主義的マネジメントは、新しい価値を創造し提案していくことで、社会に貢献し、社会を良くしていくという性質があります。そこには人という主役が存在します。

どちらが大切か

経営合理的マネジメントと人間主義的マネジメント、マネジメントというものをこの2つに分類したとき、どちらが大切でしょうか。

結論をいうとどちらも大切で、相互に補完が必要です。しかし、現実は経営合理的マネジメントばかりが重視されているように感じます。社会、経済、経営にかかわるのは人です。そう考えると、今まであまり省みることがなかった人間主義的マネジメントをもっと重視する方がいいのではないでしょうか。

相互補完を原則としながら、すこし人間主義的マネジメントを意識して見るといいのかもしれません。

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