強みを活かせる市場を探す
先月の記事で、強みを活かせる顧客について取り上げました。
今回は、市場にフォーカスを当ててみましょう。
ブルーオーシャン、レッドオーシャンなんていう言葉もありますが、自社の強みを活かして戦う場所はどこなのでしょうか。どれだけ素晴らしい強みをもっていても、戦う場所を間違えたら事業はうまくいきません。
命中率が抜群の最新式の銃を持っていたといても、水の中では役に立たないのと同じです。
市場を探すときに忘れがちな視点
新たな市場を探そうとなったとき、ほとんどの場合、別の市場に出て行くことを検討するのではないでしょうか。隣の芝は青いといいますが、本当に隣の芝は青いのでしょうか。事業戦略のおいては必ずしもそうではありません。青く見えた隣の市場も入ってみたら血で血を洗うようなレッドオーシャンだったということもあります。
別の市場を検討する前にやるべきことは、今いる市場でこれまで対応していなかった市場はないかと言うことです。言い方を変えると、今いる市場を細分化しましょうということです。つまり、ニッチを探すと言うことです。
例えば、自動車業界。これは細かく見ると、乗用車、商用車、特殊自動車などに分けることができます。さらにいうと乗用車も、大型車、中型車、小型車、軽自動車などに分けることができるでしょう。現時点で、市場をどういう単位で見ていますか。それは細分化できないでしょうか。自社の事業に当てはめてみてください。
ニッチ戦略
ドラッカー教授は著書『乱気流時代の経営』で次の様に書いています。
リーダー的な地位とは、規模の問題ではなく、質の問題である。強みとする分野への集中である。(中略)スペシャリストになることができるニッチは、ほとんどあらゆる分野に存在する。(中略)大市場において、リーダー的な地位を得るための大戦略は成功しうる。あるいは逆に、私が「関所」的スペシャリスト化と呼ぶニッチ戦略も、成功しうる。
P.F.ドラッカー『乱気流時代の経営』
そもそも中小企業にとって大きな市場は不要と言えます。なぜなら、対応するだけの資源が無いからです。逆に言うと、小さな市場であってもリーダー的地位を獲得すれば、企業を維持し、発展させるだけの成果を得ることができます。
ここで重要になってくるのが質の問題、つまり強みとする分野への集中です。自社の強みを、小さな市場に集中することで、他社が参入しづらい状況を作ることができます。
小さな市場の探し方
では、自社の強みを生かせる小さな市場はどのようにして探せばいいのでしょうか。
ひとつの方法が予期せぬものを探すというものです。
予期せぬ成功をマネジメントが認めていないのは、人間誰しも、長く続いてきたものが正常であって、永久に続くべきものだと考えるからである。自然の法則のように受け入れてきたものに反するものは、すべて異常、不健全、不健康として拒否してしまう。
P.F.ドラッカー『イノベーションと企業家精神』
一般的に予期せぬ成功は流されてしまいます。しかし、なぜ予期せず成功したのかを深掘りすることで、自社にふさわしい市場を知るヒントとなります。
また、常識を疑うことで、競争の無い市場を手に入れることが可能となります。例えば次の質問に答えてみてください。
私たちの業界で当たり前のことは何ですか?
思いつく限り箇条書きで書き出してみてください。書き終えたら、それらの常識と逆のことができないかを検討しましょう。もし実現可能なものが見つかればそれが新な市場になる可能性を秘めていいます。
まとめ
今回は強みを活かせる市場に関して取り上げました。
何で勝負するかも大事ですが、どこで勝負するかの方が大事だったりします。是非一度、戦う場所の検討をしてみてください。
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