部署間での協力や挑戦する文化がありますか?~生産性向上と離職率低下のヒント⑧~
多くの会社が抱える課題、生産性の向上と離職率の低下。これに関する9つの質問を以下の記事で取り上げました。
今回は8つめの質問「部署間での協力や挑戦する文化がありますか?」を深掘りします。
この問いは従業員が、企業の組織風土が従業員にとって良い状態なのかを表すもので、エンプロイー・エンゲージメントの指標のひとつです。エンプロイー・エンゲージメントは、組織に対する自覚的な貢献意欲のことを言います。
加えて、以下の4つの指標に細分できます。
- キャリア機会の提供
- 挑戦する風土
- 部署間での協力
- 称賛への妥当性
キャリア機会の提供
従業員が意欲的であれば、会社がチャンスを与えてくれているかを表します。数値が低いときは、会社が従業員に与える機会の数が少ないか、機会があるにも関わらず自分にその機会が与えられない理由を正しく理解していない可能性が考えられます。
キャリア機会の提供が低い時の対応
まずは、会社として従業員にキャリア機会の提供ができているかを確認しましょう。できていない場合は、社員の自発的な活動を支援する制度を作ったり、従業員が機会を見つけられるように多様な現場や仕事を経験してもらうことも有効な手段です。
次に、一定の機会提供があるにもかかわらず数値が低い場合は、会社の従業員のコミュニケーションが不足している可能性があります。会社は提供している(つもり)、従業員は提供されていると感じていない状況がなぜ起こるのか、現状把握を行いましょう。
挑戦する風土
失敗したこと以上に、挑戦したことを讃えられる会社かを表します。数値が低いときは、失敗に対して上司等から厳しく叱責された経験や、挑戦する姿勢が称賛されていない可能性が考えられます。
挑戦する風土が低い時の対応
マイナスではなくプラスに目を向ける組織風土の醸成が必要です。失敗しない人は、優秀な人ではなく行動しない人です。失敗は挑戦の結果だという認識を持ち、失敗を責めるのではなく、挑戦を称賛するようにしましょう。その上で、提案制度などを活用して挑戦する機会を提供しましょう。
ただし、失敗した際に負うリスクに関しては的確な分析が必要です。負えるリスク、負うべきリスク、負えないリスク、負わないことによるリスク、この4つのリスクを軸に検証してみてください。
部署間での協力
目標を達成する上で、他部署は協力的であるかを表します。数値が低いときは、組織の風通しが悪いと感じていたり、部署間でのコミュニケーションが上手く取れていない可能性が考えられます。
部署間での協力が低いときの対応
まずは組織全体の成果や目標に目を向ける働きかけが必要です。部署間の対立はほとんどの場合、自分の部署の利益や都合に意識がフォーカスしている場合に起こります。本来、目線は顧客に向けるべきです。各部署が顧客という共通のターゲットに目線を向けることで対立構造から抜け出すことができます。
その他、部署をこえた交流の場を作り、他部署の仕事や考え方を知る機会を設けましょう。
称賛への妥当性
社内で誰かが称賛されたとき、適切であると感じているかを表します。数値が低いときは、特定の業種や部署に称賛が集まりすぎていると感じている、あるいは称賛する際の判断基準が不明確である可能性が考えられます。
称賛への妥当性が低いときの対応
まずは、実際に特定の業種や部署に称賛が集まっているのかを確認しましょう。合わせて、その基準の明確化も進めます。人事評価制度と同じで、妥当性を感じるかどうかは、その評価に納得いくかどうかです。なぜその業種や部署が称賛されているのか、逆にどうすれば自分の業種や部署が賞賛されるようになるのか、基準が明確になるだけでも不公平感はなくなります。
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