何のために働くのか〜会社編〜
以前の記事で、人は何のために働くのかというテーマを取り上げました。
加えて、働く目的で必ずあがってくるお金に関して、もしお金というものが無くなったらというテーマを以下の記事で取り上げました。
では、働く目的やお金に関して、会社の場合はどうでしょうか。今回は会社にとって、事業活動をおこなう目的と利益の関係を深掘りしたいと思います。
利益は目的ではない
マネジメントの父、P.F.ドラッカーは著書『現代の経営〈上〉』で次の様に書いています。
事業体とは何かを問われると、たいていの企業人は利益を得るための組織と答える。たいていの経済学者も同じように答える。この答えは間違いなだけではない。的外れである。
P.F.ドラッカー『現代の経営〈上〉』
多くの企業人が会社の目的は利益を得ることだと思っていますが、ドラッカー教授はこのことを明確に否定しています。間違いなだけではなく的外れだと言っています。このことは、人が働く目的が、お金だけではないという話よりももっと強い意味があります。
あなたが最近購入したサービスや商品を思い浮かべてください。それを購入した理由は何ですか?
この質問に「商品を販売している会社の利益のため」とか、「商品を販売している会社の社長や従業員の生活のため」と答える人はおそらくいないでしょう。その商品を購入し使用することで、あなたがもつ何らかの不満や課題を解決したり、欲求を満たしたりで着るからじゃないでしょうか。
つまり、会社が事業活動をおこなう目的は、顧客のニーズを満たすためと言えます。さらには、顧客自身が気づいていないニーズを掘り起こし、新たな価値を提供することもあります。利益はその結果得られるものであって目的ではありません。
ドラッカー教授は事業の目的は顧客の創造だといいます。顧客そのものを増やすことだけでなく、顧客価値を創造していくことが、事業活動の目的です。
利益とは何か
目的ではないとしたら、利益はいったい何者でしょうか。会社にとって利益は目的ではなく条件です。事業活動を通して顧客を創造し、組織のミッションを遂行するにはお金が必要です。そのために利益が必要となります。いわば自動車にとってのガソリンや電気の様なものです。自動車はガソリンを入れるために存在しているわけではありません。移動し目的地に辿りつくために存在し、そのための燃料としてガソリンや電気を必要とします。
この、目的ではなく手段だという考えはとても重要です。利益が目的化してしまうと、不正など顧客を置き去りにした行動につながってしまいます。
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