一人ひとりの仕事が組織全体の目標に向くために必要なこと
あなたの会社では、一人ひとりが組織全体の成果や目標に向けて働いているでしょうか。ドラッカー教授は、著書『マネジメント〈中〉』で次の様に書いています
あらゆる仕事が組織全体の目標に向けられなければ、成果は得られない。特にマネジメントの人間の仕事は、組織全体の成功に焦点を合わせなければならない。一人ひとりの成果が、組織全体の目標に向けられなければならない。彼らの成果は、組織全体の成功への貢献によって測られる。
P.F.ドラッカー『マネジメント〈中〉』
しかし同時に、このことは容易に実現することはできないとも言います。なぜなら、組織において、共通の目標に向かって全員が自動的に動くわけではないからです。
さらに、組織には人を間違った方向へ持っていく大きな要因が4つあると言います。
- 仕事の専門化
- 上司
- 階層
- 報酬
専門化
組織の成果の源泉とも言えるのが、組織のメンバーそれぞれが持つ専門性です。専門的な仕事において最高の水準に達することがマネジメントの人間を形成し、専門の能力を追求することが組織の発展をもたらします。
しかし、この専門化への努力に危険が潜むとドラッカー教授は言います。
つまり専門化への努力の過程で、自らの専門に意識がいき、組織全体としての成果への関心が逸れていくという現象が起こります。専門的な仕事自体が目的と化し、自分の成果を組織への貢献ではなく、専門的な基準によって評価しようとします。
このことは、技術者を抱えている会社においては誰もが心当たりがあるのではないでしょうか。筆者もプログラミングやシステムエンジニアの仕事をしていたときには上記の様な状況を多く目にしました。いかに難しいコードを書くか、きれいにコードを書くか、最新の技術を取り入れるかなど、それ自体は場合によっては大切なんですが、その事が組織の成果、その先にある顧客の価値につながらないと意味がありません。
そうならないように、それぞれの専門家が自信の専門性を組織全体の成果に向けるための仕組みが必要になります。
上司
多くの組織で上司による間違った方向づけが起こってしまいます。上司の言動や些細な言葉じり、癖や習慣までも、部下から見ると重要な意味があると受け取られます。
上司であるあなたは、発した言葉と行動が一致しているでしょうか。よくある例として、お客様第一と声高に言いながら、上司にうまく取り入る人やただ単に売上を取ってくる人が評価されているというものです。お客様第一と言うのであれば、お客様により貢献した人を高く評価しなければなりません。
こうならないために、上司は言動に気をつける必要があります。ただし上司も人です。完璧に言動を一致することは難しいでしょう。そのため、一人ひとりが上司をうかがう必要がない状態、上司ではなく仕事が要求するものに意識を向けるための仕組みが必要になります。
階層
組織には階層があります。そしてその階層によって仕事や関心に違いがあります。このことからも間違った方向づけは起こります。
しかしこのことは当然のことであり、コミュニケーションで解決できるものではありません。しかし、現実に存在する階層ごとに見えているものが違うため、同じことを話していても気づかなかったり、逆に同じことを話しているつもりで全く違うことを話しているということが起こりえます。
このことが組織全体の成果に影響しないためにも、組織全体の成果とそれが自身に要求するものを知るための仕組みが必要になります。
報酬
報酬による方向づけの間違いは深刻です。詳細は別の機会に譲りますが、上司の言動と同様に間違った基準で報酬の上がり下がりが決まったりしていないでしょうか。基本的にはそういったことが無いように評価制度や賃金制度を整備する必要があります。
しかし、ドラッカー教授はいかなる報酬システムといえども、人を間違って方向づけすることは避けがたいといいます。そのため、 階層と同じ様に、組織全体の成果とそれが自身に要求するものを知るための仕組みが必要になります。
自己目標管理
これら4つの要因を克服するために必要な制度が自己目標管理です。
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