生産性をあげるために必要なもの
たびたび取り上げる生産性。中小企業において生産性を向上させることは必須事項であり急務です。生産性をあげるためには何が必要でしょうか。
ドラッカー教授は、組織が成果を上げるためには、人を生産的にすることが必要であり、それができるのは仕事を通じてだといいます。つまり、仕事を生産的にすることこそあらゆる組織にとって基本的な機能と言えます。
まずは第一の段階として、仕事の分析と設計を通して、仕事そのものを生産的にすることが必要です。そして第二段階として、生産的になった仕事を人にやってもらう必要があります。この第一段階と第二段階はまったく世界が異なります。逆と言っても過言ではありません。仕事は客観的である一方、人は主観的です。また、仕事は論理的である一方、人は情緒的です。このような全く違う世界をつなぐ必要があるのです。
では、適切に設計された仕事をとおして人に成果を上げてもらうにはどうすればいいのでしょうか。ドラッカー教授は著書『マネジメント〈上〉』で次の様に書いています。
人に成果をあげさせるには、一人ひとりの人を、それぞれに生理的、心理的な特質、能力、限界をもち、独特の行動様式をもつ生きた存在としてとらえなければならない。すなわち、人を人として、それぞれに個性、市民性、仕事の仕方、仕事の量と質に違いのある存在、したがって、それぞれがそれぞれに責任、動機づけ、参画、満足、誘因、報奨、リーダーシップ、位置づけ、役割を必要とする存在として理解しなければならない。
P.F.ドラッカー『マネジメント〈上〉』
一言でいうと、組織で働く人、一人ひとりはそれぞれ全く別の人格だということです。画一的に取り扱って意図したとおりに動いてくれるというものではありません。産業革命直後のマニュアルワーカーが大多数を占めていた時代はこういったことはあまり意識する必要はありませんでした。そもそも貧しく、発展途上だった時代であり、働くことに対する人の動機は比較的シンプルでした。加えて、仕事そのものもシンプルで、指示・命令・マニュアル通りに動けば一定の成果が得られました。しかし、ナレッジワーカーが多数を占める現代は違います。人も仕事も多様化しているのです。
ドラッカー教授はこのように続けています。
こられのことを実現できるものがマネジメントである。あるいはマネジメントだけである。
P.F.ドラッカー『マネジメント〈上〉』
これが結論です。仕事を生産的にするために必要なもの、それはマネジメントであり、マネジメントだけだとドラッカー教授は言いました。
当コラムでも定期的に取り上げるマネジメントですが、「難しい」と言って行動できない人と、「難しい」と言いながらもできそうな事を行動に移す人にどうしても分かれてしまいます。もちろん成果をあげるのは後者です。弊社で支援をさせていただく際には、支援先の経営者様や会社が後者になる様にいろいろと工夫を凝らしています。
ぜひ少しずつでもいいのでマネジメントの実践に挑戦してみてください。
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