従業員の行動が改善しない理由とその対応
何度言っても従業員の行動が改善しないという相談を経営者さんやリーダー層から受けることが本当に多いです。たびたびこのコラムでも取り上げるテーマですが、今回は多くのケースで共通する原因とその対応に関して取り上げます。
最近では上記の様なご相談をいただいた場合、当人同士が会話している場(会議や面談)に立ち会わせていただく様にしています。すると、従業員の行動が改善しない理由が色々と見えてきました。見えてきたというより、思っていた通りだったという方が適切かもしれません。
理由はいくつかあるのですが、共通していて、かつ根幹となるものがあります。会話の抽象度と当人それぞれがもっている情報量の違いです。
極端な例
会話の抽象度ともっている情報量の違いを表した最も極端な例が次のとおりです。
社長「部門の成績がよくないので至急改善してほしい」
部門長「わかりました。…」
部門長の言葉の最後にある「…」にはどんな気持ちが隠れているでしょうか。多くの場合、「わかりました。でもどうすればいいかよくわかりません。」です。
それを考えるのが部門長の仕事だろうと多くの人が思うでしょう。その通りです。しかし現実には、自分で1からどうするかを考え行動し、結果を出してくれる従業員はそう多くないという現実があります。
上記はあくまで極端な例ですが、似たような会話をしていないでしょうか?
何度言っても改善しない場合は、そもそも伝わっていないか、伝わっていても具体的にどうしていいかわからない、もしくはそれをやる能力がないという状態です。
具体的に伝える
まずは伝えたいことを具体的に表現するようにしましょう。何度も言っているのに伝わらない場合は、抽象度を下げて相手がわかるレベルまで具体化する必要があります。上記の例で言うと、部門の成績を改善するために何をやったらいいかを示しましょう。
伝わったかどうかを確認する方法で一番簡単なのは、話が終わった後でやるべきことを書き出してもらうことです。そうすることでお互いの認識にずれがないか確認することができます。
情報量を揃える
ここで言う情報量というのは主に会話内容に関する知識の差です。経営者やリーダー層は相対的に経験も知識もあります。そのため、自分が知っていることを当然のこととして従業員や部下と会話しても通じません。
そのため、相手が理解できる言葉で話す、もしくはお互い理解できる言葉を増やす必要があります。
おすすめの取り組み
やってほしいことを具体化と情報量を揃えるためにおすすめの方法はいくつかあります。
まずやってほしいことの具体化に関しては例えば次のとおりです。
- 人事評価制度の構築
- 従業員参加型による社内ルールやマニュアルの整備
- 定期面談と面談トレーニング
- 専門家による個別コーチング
次に情報量を揃えることに関しては例えば次のとおりです。
- 経営者と従業員が一緒に参加する研修(マネジメント研修がおすすめです)
- その他の継続的な社員教育
さいごに
従業員や部下の行動が改善しないということで悩んでいる人が多いにもかかわらず、その対応として上記の様な取り組みを始める人はまだまだ少数派です。従業員や部下に行動を改善してほしいと言っている当人が、いつまでもただただ言っているだけと、行動を改善していないことに気づきましょう。
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