【事例で学ぶマネジメント】利益なき長時間労働を脱した多角化の原則
事例から学ぶマネジメント。
『ドラッカー組織づくりの原理原則』で紹介されている事例を紹介します。
今回の舞台は埼玉にある米菓メーカー。
28歳で父が創業した会社に入社した現社長。
その当時は、赤字と黒字を行ったり来たりの不安定な状況でした。営業社員は長時間働いているのも関わらず思った成果が出ません。
そこで、まず実践したことがドラッカー教授の次の言葉でした。
成果をあげるための秘訣を一つだけ挙げるならば、それは集中である。
P.F.ドラッカー『経営者の条件』
当時、売上の大半を占めていたある市場から撤退するという決意をしました。その市場は、確かに多くの売上を得ていたのですが、大手が高いシェアを握っており、中小企業では太刀打ちが出来ない状況でした。長時間働いても成果がでない原因はまさにここにあったのです。
その後、売上の1~2割程度だった市場に注力し、10年かけて売上も利益も伸ばしたそうです。
事業基盤が整ったところで、多角化に舵を切ります。
しかし、ここで多角化において絶対に守らなければならない原則があります。
多角化には2つの方向があると言うことです。
- 知識で専門化し、市場で多角化するパターン。
- 市場において専門化し、知識で多角化を図るパターン。
1は今まで培ってきた社内の知識を、今とは違う市場に提供すること。2は今の市場に今とは違う知識を提供することです。
多角化で失敗するケースの多くは、知識も市場も新しい分野に進出するパターンです。
この会社では、1の方法をとり、米菓製造という知識を専門化し、市場を広げる選択肢をとりました。
結果、入社時は売上6億程度だったのが、25億を超えるまでになりました。
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