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コラム

人事制度

会社目線での歩合給のメリットとデメリット

人事制度構築のサポートをする中で、よく話題に上がるものの中に歩合給があります。

自社の賃金制度をどうするかということを考えた時、歩合給を採用するのかどうか、また現状採用している場合は、継続するのかどうか、多くの経営者が悩むポイントです。

今回はそんな歩合給に関して取り上げたいと思います。

そもそも歩合給とは

歩合給とは、仕事の成果に応じて金額が決まる給与体系です。

例えば、営業職の場合、その月の合計契約金額の○%を次月に支払うといったものです。多くの場合が基本給とは別の手当として歩合給が支給されますが、職種によってはフルコミッション(完全歩合給)というのも見られます。ただし、フルコミッションであっても、最低賃金を満たす給与は支払う必要があるため、仮に成果ゼロでも給与ゼロということはありません。また、最低保障給を支払う必要があり、保障給の額は1時間当りの賃金が実績の6割程度を下らないように定める必要があります。そう考えると、保障給が基本給のような位置づけになるため、フルコミッションにはほとんど意味が無いとも言えます。

ちなみに、歩合給を残業代として支給しているケースを目にしますが、原則NGですのでご注意ください。歩合給を残業代と見なすことはできないどころか、計算方法は若干違いますが歩合給自体にも残業による割増賃金は発生します。

歩合給のメリット

歩合給のメリットは、従業員の短期的なモチベーションにつながると言うことです。がんばれば給与が増えるというシンプルなモチベーションの源として歩合給は重宝します。

歩合給のデメリット

歩合給のデメリットはいくつか考えられますが、ここでは2つご紹介したいと思います。

まず、本当にモチベーションにつながるのかという疑問です。さっきと言ってること違うじゃないかと思う方もいらっしゃると思います。確かに、仕事をがんばって一定の歩合給が付くと短期的なモチベーションにはつながります。しかし、あくまで短期的というところが問題です。

そもそも、歩合給の仕組み上、おそらく、稼げる金額等の上限は決まってくるのではないでしょうか。がんばればがんばるほど青天井に稼げる歩合給というのは不可能です。

そうすると何が起こるでしょうか。

歩合給が、給料を増やすためにがんばる仕組みから給料を維持するためにがんばる仕組みになってしまいます。人は増やすことにはモチベーション高くがんばれる傾向がありますが、維持することでモチベーションを上げるのは難しいという傾向があります。そうなってしまうと、歩合給が逆に足かせとなるでしょう。

歩合給に疲れてバーンアウトする例もよく耳にします。

次に、長期目線の仕事ができなくなるということが考えられます。仕事は短期と長期の2つの目線をバランス良く持つことがとても大切です。目の前の稼ぎばかりだと、その仕事はやがて陳腐化し将来成立しなくなる日が来ます。逆に遠い未来ばかり見ていて、目の前の稼ぎをおろそかにすると会社そのものの存続が難しくなります。

もちろん、職種や役職によって短期と長期の配分は変わってきますが、どんな立場であっても両方の視点が必要なことには変わりがありません。

歩合給は短期目線の象徴とも言える制度です。自分の給与を増やすこと(維持すること)で頭がいっぱいになり、長期目線で仕事をすることをしなくなります。

結局のところ歩合給の是非は?

歩合給のメリットとデメリットをお伝えしましたが、じゃあ結局、歩合給ってやった方が良いのかやらない方が良いのかどっちなのでしょうか。

答えとしては「やっても良いけどやるならデメリットへの対策も同時にやる」です。

例えば、モチベーションの問題に関しては、モチベーションに関して歩合給だけに頼らないこと。そもそも、お金がモチベーションの源泉としては十分機能しないどころか、場合によっては逆効果だと言うことは常識となりつつあります。そのため、お金以外にやる気を持ってもらう取り組みをすることが必須となります。

短期目線と長期目線に関しては、会社として長期目線の仕事を評価する仕組みと組織風土を作ること。これは評価制度で、長期目線の仕事で成果をあげた人に対して賞与が多くなる、あるいは昇格や昇給につながるといった仕組みを作ることが必要です。

以上、今回は歩合給のメリットとデメリットついてお伝えしました。

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