MBAは時代遅れ!?今こそ考えるべき2つのマネジメント
MBAといえば、経営において輝かしい称号というイメージがあるかもしれません。しかし今、MBAはもはや時代遅れで実務の世界から遅れているという人もいます。
はたして、真実はどうなんでしょうか。
このことを考える上で押さえておく必要があるのが、世の中でマネジメントと言われるものには次の2種類があるということです。
- 経営合理的マネジメント
- 人間主義的マネジメント
この2つ、それぞれどういうものでしょうか。
経営合理的マネジメント
利益の最大化、株価の最大化、コストの最小化を目的としたマネジメントで、アメリカの経営研究やMBAで取り扱う主流の考え方です。
アメリカの経営研究は実証主義・科学主義で、企業利益や株主価値の向上に結びつけられる経営合理的なマネジメントを展開し、それにかかわる命題を統計的手法によって正当化といったことが行われます。
言い方を変えると、原因と結果の因果関係をとても重視します。
経営という世界ではこのような考え方は一見重要と思えます。しかし、この考えを追求すると不条理に行きついてしまいます。
効率性を追求するあまり不正をおこなったり、短期的な利益優先で長期的な利益を無視したり、個別利益を優先し全体利益を無視したり。
特に、世の中で行われる不正の多くは、過度な経済合理性を求める余り、完全安全性を犠牲にした結果です。
加えて、大きなリスクとコストがかかるイノベーションを阻害するという現象もおこります。
人間主義的マネジメント
顧客の創造を目的としたドラッカーが体系化したマネジメントです。
経営合理的マネジメントと決定的に違う点が利益を目的としていない点です。目的はあくまで顧客の創造であり、利益はそのための手段にすぎません。
自動車にとってガソリンが目的ではなく、ガソリンは目的地まで移動するための燃料ということと同じです。
顧客の創造というのは、顧客の声に応えて喜んでもらい、お客様の数を増やしていくということではありません。そのような他律的、受動的なものではなく、もっと自立的、能動的に自由を行使し、イノベーションを起こし、新しいものを提案し、顧客を「創造」することです。
そこには、カントの自由と責任の考え方があります。
ウォークマンやiPodがまさに好例です。ウォークマンが発売された当初、音楽を外で歩きながら聴くことを明確に望んでいた人がいたでしょうか。おそらくいなかったのです。想像すらしていなかったかもしれません。そこにソニーがウォークマンという商品で、外で音楽を聴くことを提案し、それが世の中に受け入れられました。
経済や経営にかかわるのは人です。そういう意味でも人間主義的マネジメントの重要性は疑う余地がありません。
2つのマネジメント、重要なのはどちらなのか?
結論からいうと、あくまで相互に補完が必要です。
経営合理的マネジメントだけでは前述のような不条理にいきつきます。かと言って、人間主義的マネジメントだけで現実世界を全てカバーできるかというとそうではありません。
MBAの授業ではあまりドラッカーが扱われない、ドラッカーの本が読まれないそうです。
理由は様々のようですが、一つはアメリカの経営研究が実証主義ということにあるのではないでしょうか。人間主義的マネジメントであるドラッカーマネジメントはあくまで人が主役です。そのため、明確な原因と結果の因果関係を証明することが難しいのです。このような性質がアメリカの経営研究の主流の考え方と合わないのではないでしょうか。
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