部門や職種ごとに基本給に差をつけたいとき
賃金制度を作る際、次の様なご相談を受けることがあります。
「職種によって会社への貢献度が違うので基本給に差をつけたい」
「弊社は色々な事業をやっているので全社で給与水準を合わせるのが難しいがどうしたらよいか」
このように、同じ会社ではあっても様々な理由で給与水準に差をつけたいケースがあります。もちろん、同じ会社なんだから職種や部門は関係なく平等にするため水準を合わせたいというケースもあります。
どちらが正解というわけではなく、会社それぞれの考え方でしょうか。
今回は、給与水準に差をつけたいときの考え方について取り上げます。
方法は基本的に2通りです。
テーブルを分ける
一番よく見るパターンがこれです。
単純に基本給テーブルを部門や職種ごとにつくるというもの。もちろんテーブルは号棒表のような詳細なものや、範囲給表のようなシンプルなものがあります。
部門や職種ごとに一つの表を見れば良いのである意味わかりやすいというメリットがあります。
ただし、職種や部門の異動があった際に困ることが多いと言うデメリットがあります。
例えば社内でも給与水準が高い営業職から給与水準が低い事務職に異動した場合、制度の趣旨にあわせるなら給与は下がるはずなのですが、テーブルが別の場合、いくら下げるのか、どういう根拠で下げるのかが明確にできません。
基本給を2つに分ける
テーブル自体を分ける場合のデメリットを解消したのがこのパターンです。
これは、全部門、全職種共通のテーブルを作成し、その上に職種給を乗せた合計を基本給とする方法です。
例えば上記図の例1で先ほどと同様、営業職から事務職に異動になった場合、本人のその時点での範囲給はそのままで、職種給が営業から事務の金額に変わります。この方法を使うと、仮に給与が下がっても根拠が明確で違法な給与引下げにはなりません。
また、ベースアップ等、全体の給与水準を変えたいときには範囲給を変更し、部門や職種の給与水準を修正したい場合は職種給を変更するなど、状況の変化に対応しやすいのも特徴です。
補足
上記の例はあくまで一例です。
冒頭に書いたとおり、業績を上げているのは全部門、全職種共同で仕事をしているからであり、給与に差をつけたくないという考え方もあります。
あるいは、今回の例1では営業職が一番給与水準が高いですが、会社によっては設計かもしれませんし、事務かもしれません。
大切な事は、自社の考え方や文化をどのように給与に反映するかです。
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