事業戦略のための現状分析
先月の以下の記事で、中小企業の事業戦略に関して取り上げました。
生き残るため、何より健全な発展をするためには事業戦略が欠かせません。
今回から具体的な事業戦略の立て方を取り上げていきたいと思います。
まず最初にやるべきは現状分析です。
P.F.ドラッカーは著書『創造する経営者』で次に様に言っています。
製品や市場や流通チャネルなど業績をもたらす領域についての分析、利益や資源やリーダーシップについての分析、コストセンターやコストポイントについての分析など、事業そのものについての分析は、企業が「いかなる状況にあるか」を教える。
P.F.ドラッカー『創造する経営者』
まず現状分析すべきは現在の事業です。マネジメントで言う事業の定義は知識という資源を経済価値に転換するプロセスです。そしてこの事業を分析するために必要な分析対象として出ているものは次のとおりです。
- 製品
- 市場
- 流通チャネル
- 利益
- 資源
- リーダーシップ
- コスト
各分析対象のポイントは次のとおりです。
製品
まず具体的な製品やサービスの分析に入る前に、自社の強みは何かという分析をします。製品やサービスの源泉は自社の知識、とりわけ強みによるものだからです。強みの分析で注意すべき点は、自分たちが思っているものと、顧客が感じているものが違うことが多いということです。ゆえにスタートである強みの分析には特に時間をかけましょう。
次に今ある製品やサービスのライフサイクルを分析しましょう。それぞれ導入期、成長期、成熟期、衰退期で分類するとどれに属するでしょうか。多くの中小企業が成熟期の製品しかない、あるいは衰退期の製品しかない状況にあるという現実があります。つまり、次の主力製品の開発をしていないということです。
市場
現在、市場でのポジションはどうなっていますか?
ここで言うポジションとは市場での特徴というニュアンスです。あなたの会社や事業の特徴は何でしょうか。また、特徴と言うからには他社との違いがあるはずです。その違いは何でしょうか。
加えてそのポジションは今後どうなっていくか、どうしていきたいかを言語化しましょう。
流通チャネル
あなたの会社の製品やサービスは適切な方法でお客様に届いているでしょうか。また、もっとよい届け方は無いでしょうか。
ニーズに応えることができ、自社の知識を最大限に活かせる製品やサービスであっても、お客様に届かなければ意味がありません。
利益
現在の事業は適切な利益を得ているでしょうか。ポイントとして適切かどうかです。少ない場合は当然問題ですが、実は多すぎても問題になる可能性があります。
また、市場とも関連しますが、市場規模を考えた際、どれくらいの売上と利益が確保できそうでしょうか。
資源
人、もの、金、時間の投入バランスは適切でしょうか。
よくあるケースとして、衰退期の製品に多くの資源を投入して延命しているケースです。この場合はすぐにでも導入期や成長期の製品に資源を移しましょう。
また、限られた資源を分散しすぎているケースもよくあります。特に中小企業は資源が限定的です。その限られた資源はできるだけ少ない場所に集中する必要があります。
リーダーシップ
ここで言うリーダーシップとは、市場から一定の支持を得られているかという意味です。言い換えると、独自化がどれだけできているかと言うことになります。
あなたに事業は、他社にマネされる可能性は無いでしょうか。
もし簡単にマネされるということであれば、独自化どころか差別化もできていないということです。
逆にマネされることはない、マネすることなんて不可能だということであれば、なぜそうなのかを明確にしておきましょう。
コスト
事業運営には様々なコストが発生します。
コストセンターはそれらコストの発生源と意味します。さらにコストセンターの中にあって、大部分のコストの源となっている活動をコストポイントと言います。
現在の事業におけるコストセンターとコストポイントは把握出来ていますでしょうか。
次に、コストポイントを、生産的コスト、補助的コスト、監視的コスト、浪費的コストの4つに分類してみましょう。
- 生産的コスト…顧客が必要とし喜んで対価を支払ってくれる価値を提供するための活動コスト(製造、出荷、販売、労働、資金など)
- 補助的コスト…それ自体経済価値は生み出さないが、経済活動の一環として不可避的なコスト(物流、受注、請求、回収、経理など)
- 監視的コスト…何かをもたらすためではなく、何か悪いことが起こらないようにするための活動コスト
- 浪費的コスト…いかなる成果も生むことのない活動のためのコスト
以上、今回は事業戦略のための現状分析に関して取り上げました。
ご質問や実際の分析のご相談などいつでもお待ちしております!
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