間違うと危険!事業の定義
先月の以下の記事で、事業戦略の最初のステップ現状分析についてとりあげました。
今回は事業のコンセプトに関わるお話です。
「あなたの会社は何をされていますか?」
こんな質問をされたときどのように答えるでしょうか。この問いへの答えが、現在認識しているあなたの事業の定義とも言えます。実はこの事業の定義とても重要です。
アメリカの鉄道会社は自らの事業を「鉄道事業」と定義していました。
その結果、後に普及してきた自動車による輸送にシェアを奪われて衰退していきます。もし、自らの事業を「輸送業」と定義づけしていれば、時代の変化に乗れたかもしれません。
一方、クレジットカードで有名なアメリカンエキスプレスはどうでしょう。
アメリカンエキスプレスはもともと輸送業からスタートしました。
しかし、アメリカンエキスプレスは自らの事業を「輸送業」と定義し、さらに後に「海外等に移動する人のサポート業」と事業を再定義したのです。
これにより、金融分野で基盤を築きました。
ドラッカー教授は著書『創造する経営者』で次に様に書いています。
あらゆる企業が自らの事業について意の定義、すなわち事業とその能力についての定義をもたなければならない。そしてあらゆる事業が対価の支払いを期待できる貢献を描かなければならない。(中略)意思決定をおこなう人たちが、いかに事業を見、いかなる行動をとり、あるいはいかなる行動を不相応と見るかを規定する定義というものがなければならない。事業の定義が市場に供給すべき満足やリーダーシップを保持すべき領域を規定する。
P.F.ドラッカー『創造する経営者』
自社の事業の定義を考える際にヒントとなるのが、ドラッカーマネジメントにおける事業の定義です。
ドラッカー教授は事業の定義を次の様に示しています。
知識を経済価値に転換するプロセス
出てくる要素は3つ。知識・経済価値・プロセスです。
自社の場合、この3つが何かを考えることが事業の定義を明らかにするヒントとなります。
1.誰に?
3つの要素のうち、経済価値は誰にどんな価値を提供しているのかということを表しています。
あなたの会社の事業の顧客は誰でしょうか?
また、その顧客にどんな価値を届けているのでしょうか?
この問いに対する答えはできるだけ具体化する方がよいです。
2.何を?
3つの要素のうち、知識は自社の何を顧客に届けているのかということを表しています。
特に自社の強みは何でしょうか。この辺りは前回の現状分析も合わせて参考にしてください。
3.どのように?
3つの要素のうち、プロセスとは、どのような方法、経路で自社の知識を顧客に届けているかを表しています。
どんなに素晴らしい強みがあっても、どんなに必要としている顧客がいても、それを届ける手段が無いと事業は成立しません。
あなたの会社の場合はどうでしょうか。
自社の事業定義は定期的に見直す必要があります。
まずは現在の定義を明確にし社内で共有することから始めましょう。そして定期的にその定義は今でも有効かを問います。
以上、今回は事業の定義に関して取り上げました。
ご質問や実際の分析のご相談などいつでもお待ちしております!
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