仕事におけるデータ取得7つのポイント
通常、仕事をする上で様々なデータを取得し、活用するといったことをするかと思います。
代表的なものとして売上。売上を計測していない会社はないでしょう。その他、来客数、商品ごとの販売数など、業種問わず共通のものから業種特有のものまで、事業活動において取得できるデータは多岐にわたります。加えて、情報処理技術の発展により、以前と比べてさらに取得できるデータの種類は増えています。さらに、データを取得する目的も、経営管理のため、目標管理のため、自己管理のためと様々です。
このように、様々な目的で様々なデータを取得することが当たり前となっていますが、はたしてあなたが今取得しているデータは本当に必要でしょうか。様々なデータの中からどのデータを取得するかをどのように考えていますか?
P.F.ドラッカーは著書『マネジメント〈中〉』で次の様に書いています。
マネジメント上、管理手段が有効であるには七つの条件がある。
P.F.ドラッカー『マネジメント〈中〉』
- 効率性
- 意味性
- 適切性
- 精密性
- 適時性
- 単純性
- 実用性
つまり、取得するデータはこれら7つの条件を満たす必要があります。
効率性
データによって取得する労力が変わります。また、例えば少ないデータで状況がわかるものといくつかのデータをまとめて取得しないと役に立たないものがあります。
効率性は、取得する労力が少なく、かつ少ないデータでも役に立つかということを意味します。例えば、ドラッカー教授は著書で在庫というデータに関して事例を挙げています。
同じ在庫というデータですが、経理部長は在庫の総額と増減の傾向を知っていればよく、販売部長は全体の七割を占める5~6種類の製品の在庫状況について若干詳しい数字を知っていれば良いということです。在庫全体の詳しい数字を逐一知る必要は無く、年に1~2回目を通せば良いのです。
意味性
データによってそれが表す意味には差があります。つまり、より意味があるもののみに絞ってデータを取得する必要があります。
前述の通り、情報処理技術の発展によりデータの取得が容易になりました。昔と比べて比較的簡単にデータが取得できますが、簡単に取得できるから、定量化できるからと言う理由だけではデータを取得する理由にはなりません。意味のあるものに限定する必要があります。
では、意味があるものとはどういうことかというと、ドラッカー教授は「われわれの事業は何か。何になるか。何であるべきか。」に関わりのあるもとについてのみとるべきと言います。また、「これは重要なことか」「注意を向けるべきことか」「事業の実態を教えることか」「マネジメント上重要なことか」を考える必要があると言います。
適切性
これは、そのデータが事象の構造を教えるものかという視点です。難しい表現ですが、ドラッカー教授が提示している事例がわかりやすいのでご紹介します。
例えば、ある企業で従業員からの苦情がひと月につき1,000人当たり5件という報告があったとします。このデータを見てあなたはどう捉えますか?
5/1,000なら許容範囲、そのくらいの苦情はどうしてもでてしまうだろうと考えるかもしれません。しかしこの数字は実態を表現していないとしたらどうでしょうか。5件の苦情が全て、10人しかいない特定の部署からだとしたらどうでしょうか。もしそうであるならば、問題です。該当の部署に何らかの問題があると考え対応が必要と考える人が多いのではないでしょうか。
精密性
これは、データの精度に関わる視点です。単純に細かい数字であればいいと言うことではありません。ときには概算の方が有効な場合もあります。
例えば、市場シェア26%という数字を見たとき人はどうするでしょうか。対して同じ状態を「支配的ではないが限界的でもない」と表現したらどうでしょうか。おそらく両者でそのデータを取得した後の行動は変わります。このデータにおいて重要なことは市場シェアよりも、市場そのものの定義です。
詳細な数字よりも概算、概算よりも数字の幅のほうが正確な場合があることを抑えておきましょう。
適時性
これは、データを取得するタイミングに関わる視点です。データはリアルタイムである方がいいという風潮がありますが、はたして本当にそうでしょうか。
データによってはリアルタイムが好ましくない場合もあります。そのデータの最適な取得タイミングは何かを考えましょう。
単純性
そのデータは、誰が見ても理解できるものでしょうか。複雑なデータは役に立ちません。データの意味を理解できなければ使うことができないからです。
少なくともそのデータに関わる人が苦労なく理解できる単純さが必要です。
実用性
そもそもなぜデータを取得するのか。それは、取得したデータから次の行動を決めるためと言えます。つまり、行動に焦点を合わせてデータを取得する必要があります。
データの目的は収集ではなく、行動です。
まとめ
以上、データ取得における7つのポイントをお伝えしました。それぞれ関連する部分、重なる部分もあります。データを取得しようとするときはこの7つを満たすかをチェックしてみましょう。
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